1.

強い権利を取得するためには、将来出てくるであろう類似技術を想定し、その類似技術であっても採用せざるを得ない構成要件から【特許請求の範囲】ができていることが必要です。
 これは、出願後に新たに考え出された類似技術に対する戦略です。

2.

強い権利を取得するためには、もう一つの観点が必要です。出願前から存在していたが、出願時に行った調査では発見されなかった類似技術との差別化(発明が進歩性を有すること)がなされていなければなりません。そうでないと、その調査漏れの類似技術を根拠に拒絶または無効にされてしまいます。これは、出願後に発見された出願前から存在する類似技術に対する戦略です。

3.

強い権利を取得するためには、発明を多面的に把握して、あらゆる類似技術を想定することが必要になります。とはいうものの、それらの類似技術は客観的に確認できないからこそ、想定することになるので、柔軟な発想が要求されることになります。
発明を多面的に捉えるといっても、具体的な方法がわかりにくいと思いますので、以下にその手順を示します。
  1. まず、開発技術(開発品)と従来技術(従来品)との構成(構造)上の相違点を列挙します。
  2. 次に、そもそもそれらの構成の相違は何のために必要になったのか?解決すべき問題点(従来技術の問題点)は何だったのか?を考えながら、それらの構成の相違に基づく開発技術の新しい効果をはっきりさせます。
  3. その上で、それらの新しい効果は開発技術のどの構成から生じるものであるかを列挙します。
  4. 新しい効果はどのような機能に由来するのかを列挙します。
  5. 各機能について、その機能を有する他の構成を考えて列挙します。
  6. 複数の構成から考えられる複合的な目的と効果を列挙します。
  7. それらの複合目的を解決する構成についても列挙します。
  8. 以上の手順をたどることで、具体的な構成を案出でき、しかも材料、部品、性能、機能、使用方法、応用装置、他の用途等多面的にアイデアを出すように強制されます。


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