1.発明の4要素をもう一度確認する



A 発明の目的  B 発明の構成
C 発明の作用  D 発明の効果

「発明の目的」⇒「発明の構成」⇒「発明の効果」 と見ていくときに、一つ抜けている項目があります。それは発明の作用(発明の機能)です。

 この発明の作用(発明の機能)を、先の要素に組み入れた場合には、「発明の目的」⇒「発明の構成」⇒「発明の作用」⇒「発明の効果」という構図が成り立ちます。
 つまり、発明の作用とは、発明の構成がどのような作用をしたために、発明の効果を生じることになったかの裏付けの役目を果たすもので、別の言葉でいえば、その発明の本質的要素である「解決原理」に通じるものです。
 したがって、発明を説明するには、その発明がどのような目的でなされ、その目的を達成するためにどのような手段を採用し、その手段がどのように働き、その結果としてどのような硬化が得られたのか、を記載することになります。

 発明の目的、発明の構成、発明の作用、発明の効果、つまり、解決課題、解決手段、解決原理、解決結果で、発明の必須要素のすべてが表されます。

2.発明の名称を決める
後で発明の実体がハッキリしたら変更しても構わない。

 


3.発明の4要素を意識して、抽象概念を記載していく



A.発明の目的を記載する。〔何のために〕を明確にします。
  • その発明は何に関するものですか?
  • その発明は新規なものですか?
  • 他の技術の改良ですか?
  • 装置等の全体に関するものですか?
  • それとも特定の部分についてのものですか?

A-1発明の目的は、従来の技術の問題点を解決することですから、

  • その発明の技術分野には、従来どのようなものがありましたか?
    (ここには、その発明にもっとも近い従来技術(従来品)を記載します。特許公報、文献、カタログ等があったら、具体的に名称や番号等、その資料を特定します。)

A-2その課題をどのように解決しようとしているのですか?

  • 従来の技術にはどのような欠点、問題点がありましたか?
  • 従来技術(従来品)のどの欠点をどのようにして解決しましたか?
  • 目的は一つですか?複数ありますか?



B.発明の構成を記載する。〔目的に対する手段です〕
  • その開発技術の要旨は何ですか?
  • 目的達成の手段としてなくてはならない構成要件(部分)は何ですか?
  • あるほうがよい構成要件(部分)は何ですか?
  • 構成要件(部分)と構成要件(部分)との結合関係はどうなっていますか?
  • 取り除ける構成要件(部分、結合関係)は除外します。
  • ひとくちに言って、その開発技術のポイントは何ですか?



C.発明の効果を記載する。〔解決した結果どうなったのか〕
  • その発明が完成して便利になったことは何ですか?
  • 目的達成の度合はどの程度ですか?
  • 質的な効果ですか?
  • 量的な効果ですか?
  • コスト効果はどうなりましたか?



D.発明の作用を記載する
  

〔発明の構成から生まれる動き、働きである。〕
〔発明の効果を生み出す原因となるもの〕

有利な効果がどんな作用〔機能〕から生まれるのか

  • 何のどこをどのようにして使いますか?
  • 何のどこがどのように動きますか?
  • 何のどこがどのように働きますか?
  • 何のどこがどうなりましたか?
  • どんなことができるようになりましたか?
 

4.発明の効果を記載する〔解決した結果どうなったのか〕



B’発明の構成を具体的に記載する。
 発明の作用に記載した内容と同じ(機能)を果たすことのできる他の構成・構造を考えます。
 具体例・変形例・応用例(下位概念・同位概念・上位概念)を考えだします。最低でも3種類程度考えます。

  • 開発技術の代替技術は考えられないか?
  • 開発技術の一部を変形しても同じ作用(機能)が実現できるのではないか?
  • 開発技術に何を付加したら、さらに便利にならないか?
  • 開発技術は上位の目的から見たら、一実施例に過ぎないのではないか?
  • その発明の具体例を図面にしたがって説明するとどうなりますか?
  • 何のどこに何をどうしましたか?
  • 何のどこをどう変えましたか?
  • 何のどこをどうしたところが新しいですか?



D’発明の作用を具体的に記載する
 開発技術の具体例、変形例、応用例等(下位概念、同位概念、上位概念)の作用は発明の実施の形態や実施例の作用として、D.発明の作用の下位概念として記載します。

  • 開発技術の代替技術は考えられないか?
  • 開発技術の一部を変形しても同じ作用(機能)が実現できるのではないか
  • 開発技術に何かを付加したら、さらに便利にならないか?
  • 開発技術は上位の目的から見たら、一実施例に過ぎないのではないか?



C’発明の効果を具体的に記載する。
 発明の効果の下位概念に当たる開発技術の具体例、変形例、応用例等(下位概念、同位概念、上位概念)の効果は、C.発明の効果の下位概念として記載します。
 開発技術の具体例、変形例、応用例等の質的な効果を記載します。

  • 開発技術の具体例、変形例、応用例等が完成して便利になったことは何ですか?
  • 図面に描かれたものの具体的な効果、利点は何ですか?
  • 開発技術の具体例、変形例、応用例等により、効率、安全、耐久性、省力等、どんなよいことが増えましたか?
  • 趣味感、美感、意外性等の二次的効果は何ですか?

 

5.おしまいに、発明の用途や目的をフローチャートで確認する



 開発技術の具体例、変形例、応用例を考えることにより、当初の発明の目的自体を変更する必要が生じることもあります。具体例、変形例、応用例等の各々の目的はもちろん、それらの目的を組み合わせた新しい目的をも考えなければらないときがあります。
 必要に応じ、具体例、変形例、応用例等について試作、実験をして、それらの作用・効果を確認します。

  • 具体例、変形例、応用例等からの目的・効果は何ですか?
  • 具体例、変形例、応用例等から考えられる複合目的、効果は何ですか?
  • 開発技術の上位目的は何ですか?
  • 「発明の目的⇒発明の構成⇒発明の作用⇒発明の効果」の整合性に問題はありませんか?

 


カードへの記入例

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