技術者のアタマはもともとが
フラクタルになっている

 

 

 このような表現方法は、実は、イメージ優先の思考をする企画・開発担当者であれば日常自然に行っています。

 設計をする技術者の場合は、製品の特徴を最もよく表わす正面図を紙面の中心に描き、その上下左右に平面図、底面図、左側面図、右側面図を描いていきます。さらに必要があれば、断面図や部分拡大図を斜め四方の空いているスペースに描くことになります。

 商品の企画・開発や設計をする場合には、中心のテーマまたは正面図以外は、最初はここ、次はそこというような順序はありません。思いついた順番に書いて(描いて)いくことになります。

 設計の場合には、三角法という製図上の規則がありますので、右側面図は正面図の右側に描かなければなりませんが、平面図の一部を描いた後で(平面図を完成させないうちに)左側面図を描いたとしても何の問題もありません。設計者の頭の中では何の混乱もなく、むしろこうしようというアイデアが生まれたときにその個所の詳細を描いてしまいます。

 冒頭に掲げたような即答できないテーマについて文章を書く場合にも、以上のような商品の企画・開発や設計の方法が使えます。

 つまり、文章や図面、スケッチなどの区別なく、イメージを次第にはっきりさせるようにして、アイデアを出しながら一つの作品を仕上げようとする場合には、その思考過程に適した思考を巡らすための思考方法に従うことが大切なのです。